トップページ > そよ風Zephyrのある風景 > ネガティブな感情(怒り)
そよ風Zephyrのある風景
ネガティブな感情(怒り)
ネガティブな怒りの感情が抑えきれず、つい夫にぶつけてしまい、あとで後悔して、自己嫌悪におちいる。
― そんな自分かいやでたまらないクライアントのケース。
カウンセリングの基本は、言うまでもなく「共感」と「傾聴」です。クライアントに、仕事のこと、家庭のこと、人生のこと、いろいろ話していただくうちに、3回目のセッションを終えたあたりで、漸く全体像と解決への手がかりが浮かび上がってきました。
怒り、恐怖、嫌悪、不安、抑うつといったネガティブな感情は、ポジティブな感情とは異なり、やっかいな側面をもっています。ネガティブな感情は;
@ まず、状況に対する判断力をゆがめ、広い視野から物事をみることを難しくする傾向があります、
A 特に、対人的に爆発すると、それは人間関係を傷つけて、より深刻で危機的な状況をつくりだすことが
  多々あります、
B また、ネガティブな感情の蓄積はストレスを増加させて、不眠、いらいら等の身体的な反応を引き起こす
  ことがあります。

では、ネガティブな感情は思考によりコントロールし、抑制すべきものということになりそうですが、実はそう簡単ではないのです。
感情には、ネガティブなものも含めて、私たち意思決定の援助をしたり、ある事柄について思考や行動を促したりする重要な役割があります。つまり、好きとか嫌いといった感情が湧き出てくるからこそ、私たちは物事を判断したり、思考を開始したり、行動したり出来るのです。

感情の爆発は人間関係を壊すという大きなリスクを伴うものの、マイナス面ばかりではなく:
@ まず、心の無意識レベルからくる感情の爆発(このクライアントの場合は怒りの爆発)は、何か解決しな
  ければならない深刻な出来事や背景が生じていることを知らせる注意信号の役割をはたしています、
A 不快にさせる出来事があったことを相手に爆発という強いメッセージのかたちで伝えられるので、結果と
  して不快な出来事がその後も繰り返されるのを防ぐ効果が期待できます、
B ストレスは一時的にですが解消されます、
等の側面もあわせて考慮する必要があると私は考えます。

ネガティブな感情については、視点を変えて見る(認知しなおす、reframing)ことによってよりポジティブな感情に転換することもある程度必要ですが、本当に必要なことは、クライアントにそれを引き起こした原因や出来事を深く掘り下げて、また、より次元の高い人生観や価値観等とも関連づけてじっくり考えてもらい、その上で原因そのものを取り除く努力をすることのように思われます。

このクライアントの場合にも、ネガティブな感情が爆発するからにはそれを引き起こした出来事や背景があるわけですから、そのところを一緒に掘り下げて考えてみる必要があるわけです。

3回のセッションを通じて、このクライアントの場合には、学生時代の出来事に始まりその後の結婚生活と職業生活を通じて蓄積されてきた「劣等感コンプレックス」と、夫を尊敬しているからこそ生じる「夫に対する過大な期待」、が感情の爆発の背景にあることがわかってきました。
クライアントはこの「気づき」によって気持ちが明るくなり、劣等感コンプレックスを吸収して一段上の心的安定に到達すべく、未来に向かって着実な第一歩を踏み出しました。
干場 2009年6月
戻る
このページの先頭へ
© Copyright Multus Executive Consulting Inc. All rights reserved.