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乱気流に巻き込まれた今日の世界経済を考える
乱気流(Turbulence)に巻き込まれた今日の世界経済をどう考えたらいいのだろうか?
計画経済が非効率を露呈し破綻してからは、種々問題を抱えつつも、市場経済が我々に残されたほぼ唯一のそして最善の選択である。その市場経済は情報技術の進歩と旧社会主義国の参入によって今日グローバルエコノミーの時代に入っているのだが、それはさて置き、今日の経済危機が我々に示唆するものは何だろうか。
それは、その市場経済は「万能ではない」ということである。
市場経済の下では、価格メカニズムの需給調節機能が働き、安定した社会経済秩序が保たれることが期待されており、また事実平常時にはそうなっている。しかし、市場経済とそのメカニズムは今日のように、時として機能不全に陥る。それは単純化すると市場経済の価格メカニズムが心理的な影響を受けやすく必ずしも合理的なものではないからで、その結果「調整しきれないもの」が徐々に蓄積され、火山が蓄積されたエネルギーをある日突然噴出するように、限界点に達したところで噴出する。市場経済には「循環と不連続」が不可避なのである。

市場の価格メカニズムに歪が生じる原因は何だろう。景気循環論では「企業の投資行動(短期循環)」や「イノベーション(中長期循環)」に着眼する。また、社会変動のエネルギーという視点からは「富の偏在」がフォーカスされる。

富の偏在について言うと、資産価格が勤労者の所得の増加を上回るペースで上昇し続ければ、持てる者は益々富み、持たざる者との格差は益々開いていく。そしてそれが長期間続けば、蓄積された不平と不満がいつか社会経済的に爆発するのは当然のことである。
過ってであれば社会体制の変革や政変が起こるのだが、市場経済下の民主主義国家ではそうはならない。今回は上昇し過ぎていた米国の住宅価格が暴落する、即ち、資産価格が急落するという形で蓄積されてきた歪みが是正されたわけである。そしてグローバルエコノミーの時代であるが故に、米国における資産価格の急落の影響は瞬く間に世界中に広がった。

では、資産価格が適切な水準までさがったところで市場メカニズムは再び働き始めるのかというと、実はそうはならない。
一旦悲観的になった投資家の投資活動や消費者の行動は簡単には戻らないので、合理的な価格形成メカニズムは働かず、ほっておくと資産価格は適切な水準を通り越して下がり過ぎてしまう。ここが人間の集団心理(投資行動)の興味深いところだ。

持てる者は資産価格の下落で大打撃を受けるのだが、「持たざる者」にとっては小打撃でも深刻である。市場経済が機能不全に陥っている今日、政府は市場に積極的に介入し、
1.資産価値が下がり過ぎないように需要を誘導し市場機能を早期に再起動させると同時に、
2.深刻な影響を被った「持たざる者」を救済する、
という二つの政策を効果的な規模で迅速に実施しなければならない。

正確な状況認識は適切な政策を立案し実行するうえで不可欠である。最も恐ろしいのは、グローバルエコノミーの今の時代に、日本が逆行して計画経済の非効率に後戻りする動きである。
我々は、市場経済が完璧なものではないということを理解しつつ、市場経済と仲良く付き合っていかなければならないのである。
干場 2009年6月
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